Thought of the Day

本業はSE、趣味は万年筆集め、模型作り、ギター改造なおっさんのブログです。

最近、練習している歌

私の場合、曲を知ってから自分で演奏するまでにかなり時間がかかります。一番長いので20年くらいでしょうか。元々、演奏するのも歌うのもそれほど好きではなく、ライブもやる気はゼロですから、レパートリーはなかなか増えません。

 

演奏したいと思う曲との出会いがあまりないということもあるかもしれません。

 

そんな中、18歳、つまり22年前に初めて聴いて、最近ごくごくたまに演奏する曲があります。どちらかと言うと苦手な部類の、サザンオールスターズの曲です。

 

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「唐人物語(ラシャメンのうた)」

作詞作曲:桑田佳祐

 

名もないこの街に

異国の陽がのぼる

乙女は悲しみを

御国(みくに)のためと知る

 

春まだ夜は長く

鐘鳴る 了仙寺

運命(さだめ)と泣くも良し

儚(はかな)き世の情け

 

下田港(みなと)を訪れた黒船(ふね)が

沖遥か彼方に揺れ

駕篭(かご)で行くのは時代(とき)に翻弄(あそ)ばれた

眉目(みめ)清(さや)か麗しい女性(ひと)

 

桜見頃の唐人坂で

巡る想いは ひとりひとり

泣けば花散る一輪挿しの

艶(あで)な姿は春の宵

 

月冴え照る道に

椿の濡れまつ毛

世を捨て 世に追われ

旅発つ稲生沢(いのうざわ)

 

明けの烏(からす)と謡(うた)われしことは

今遥か昔の夢

死ぬは易(やす)くて 生きるは難(かた)しと

三味の音(ね)に託せし女性(ひと)

 

石や礫(つぶて)でラシャメン結いに

後ろ指さす ひとりひとり

恋の涙と雨降る中を

己(おの)が愛した男性(ひと)は去く   

 

桜見頃の唐人坂で

巡る想いは ひとりひとり

泣けば花散る一輪挿しの

艶(あで)な姿は春の宵

春の宵

桜舞い

 

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歌い終わって「誰の曲?」と問われて「サザン」と答えるとたいてい驚かれます。マイナーな曲なのですかね?

 

ラシャメンとは、漢字で羅紗緬と書きます。昔、船乗りが性欲を解消するために羊を船に乗せていたことから、幕末に日本に来た外国人たちの現地妻をラシャメンと呼ぶようになりました。

 

要するに、動物と同じ扱いをされていたわけで、ラシャメンになることを拒んで自害した遊女もいます。被差別部落の女性達が大半を占めたという俗説もあるようです。

 

ラシャメンは幕府公認で、当初は遊女屋からライセンスをもらった遊女だけがなることができ、遊女屋が管理を任されていたようです。

 

歌の中に出てくる「乙女」は斎藤きち(お吉)という実在の女性で、初代アメリカ総領事ハリスに召し抱えられました。ハリスは敬虔な聖公会信徒でしたから、妾ではなく看護婦(メイド?)を求めていました。ところが、来たのが芸者だったため、三ヶ月で解雇されることになります。ミスマッチだったということでしょう。

 

幕府に無理やり人生を変えられたお吉に対して、最初は同情的だった周囲の目は、お吉が多大な報酬を得たことで冷ややかな目で見られるようになります。

 

酒に溺れ、婚約者と別れ、商売もうまくいかず、物乞いにまで身を落としたお吉は1980年の3月に稲生沢の川に身投げします。亡くなった後も遺体は埋葬を拒まれ、河原に放置されたほどの冷たい仕打ちを受けて、哀れに思ったある住職が境内の一角に葬ると、その住職も激しい迫害を受けて下田から追い出されたそうです。

 

埋葬することすら許されないって、相当な恨みというか憎しみですよね。たった三ヶ月、ハリスの身の回りの世話をしただけで、なぜ30年以上も迫害されなければいけなかったのか。

 

幕末だけでなく、第二次大戦後、パンパンと呼ばれる女性たちがいた時代に生まれた悲劇がどれほどあったのか、考えてしまいます。答えは出ませんがね。

 

まだまだアレンジも固まらず、上手くも歌えませんが、しばらくフォーク酒場で歌ってみるつもりです。

 

八幡山宝福寺

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