Thought of the Day

本業はSE、趣味は万年筆集め、模型作り、ギター改造なおっさんのブログです。

トミ藤山「昭和歌謡名曲選」

f:id:smeagol14:20131031011405j:plain

 

  1. 古き花園(作詞:サトウハチロー、作曲:早乙女光
  2. 星の流れに(作詞:清水みのる、作曲:利根一郎)
  3. 祇園小唄(作詞:長田幹彦、作曲:佐々紅華)
  4. 天竜下れば(作詞:長田幹彦、作曲:中山晋平)
  5. 明治一代女の唄(作詞:藤田まさと 作曲:大村能章)
  6. 湯の町エレジー(作詩:野村俊夫、作曲:古賀政男
  7. もずが枯木で(作詞:サトウハチロー、作曲:徳富繁)
  8. 影を慕いて(作詞・作曲:古賀政男

今回はトミ藤山さんが復帰後にリリースされた三枚目のアルバム、「昭和歌謡名曲選」を紹介します。

 

”Lonely Together”、”Gold”とアメリカのミュージシャンと組んだアルバムを出した後に昭和歌謡のアルバムを出すのは意外かもしれません。トミ藤山さんはカントリー歌手として成功する前は昭和歌謡を歌われていて、それでデビューされてますので、ルーツに戻ったと言えます。

 

昭和歌謡とは何か。ずっと私は曖昧過ぎると感じてきました。昭和に生まれた歌謡曲を昭和歌謡というならば、範囲が広すぎます。このアルバムは、私が抱いていた疑問に対して一つの答えを出していると初めて聴いたときに感じました。

 

このアルバムの凄いところは、ギターと歌を同時に録音していることです。最近はアマチュアでもMTRを使って多重録音をしたり、失敗したところを入れ替えたりしています。ライブ盤ですら加工されています。そこをあえてギターと歌の一発録りに挑まれているところにトミ藤山さんの気概といいますか、プロ意識の高さを感じます。

 

以前、映画の挿入歌の録音をされていた頃に現場で楽譜をいきなり渡されて、初見で歌を吹きこまれていたことがザラだった話を聞いたことがあり、鍛えられ方が違うのだな、と感嘆しました。

 

まぁ、アメリカのカントリーファンが数百人集まった場で日本の歌謡曲を演奏して、スタンディングオベーションを受けたお方ですからね。

 

1.古き花園

 

昭和14年の曲だそうです。もちろん?、原曲を聴いたことはありません。この曲に限らず、このアルバムは弾き語りのお手本みたいなものです。適当にジャカジャカコードを鳴らしたりせず、間奏の部分も含めて全体的な伴奏の仕方のバランスが素晴らしいです。

 

正確なフラットピッキングもギタリストにとっては聴きどころだと思います。

 

2.星の流れに

 

昭和22年、従軍看護婦だった女性が帰国後にすべてを失い、夜の女として生きざるをえないことを嘆いたという実話から生まれた曲です。

 

初めて聴いたとき、休符の表現の仕方に驚きました。イントロの部分とか、けっこう間が空くんですよ。まず間違いなく、弾き語りをする方が真似をしたらリズムが崩壊して目も当てられない状況に陥るはずです。

 

3.祇園小唄

 

なんと昭和5年の歌です。このアルバムではスチール弦のギターとナイロン弦のギターが使われていて、スチール弦はMartin D-18が使われていて、ナイロン弦は・・・Gibsonのソリッドボディのエレアコが使われています。ラインにつないだ音ではなく、生音です。

 

実際に使われたギターを幸運にも触らせていただく機会を何度かいただいたことがありましたが、驚くほど鳴るギターでした。

 

トミ藤山さんは2本の三味線による演奏を1本のギターで再現することに挑戦されていて、ライブでも何度か披露されています。

 

この曲はなんとも言えないグルーブ感があって素晴らしいです。

 

4.天竜下れば

 

有名な芸者歌手、市丸さんの曲が続きます。「生涯現役」が口癖だったという市丸さんとトミ藤山さんは通じ合う部分があるのでしょうか。

 

このアルバムがきっかけで私は市丸さんのファンになりました。

 

この曲でも三味線風ギターが聴けます。同じ人が弾きながら歌っているとは信じられません。イントロと間奏でわざとタメを作る部分など、たまりません。

 

5.明治一代女の唄

 

この曲も花井お梅事件という実際にあったことから生まれた歌です。私はこの曲も元になったエピソードもまったく知りませんでした。

 

新内流しという演奏形態がありまして、変換されないくらいマイナーになっている言葉です。これは遊郭の音楽で、歌と三味線が一組になって演奏するスタイルなんだそうです。

 

いろいろと勉強になります。

 

6.湯の町エレジー

 

この曲は、私がギターを始めた頃に流しのおっさんから教わった曲で、思い出深いものがあります。いわゆる古賀メロディーの代表曲と言えます。

 

カントリーをやる前にトミ藤山さんは古賀政男さんの曲を歌い、レコードも出されていました。さらには古賀政男さんから直に褒められたこともあるそうです。

 

この曲を聴いていると、日本語の歌の良さをしみじみと感じます。

 

7.もずが枯木で

 

これはかなり意外な選曲でした。私もレパートリーに入れていて、きっかけは岡林信康さんがライブで歌っているのを聴いたことでした。

 

優等生的な、直球勝負するような反戦歌が大嫌いな私のツボにはまった曲を、トミ藤山さんがどう料理するのか楽しみにしていました。

 

トミ藤山さんのアレンジは、昭和歌謡を経てからカントリー、ジャズ、ブルースをやられたからこそ生まれたもので、「こういうやり方もあるのか」と驚かされました。

 

8.影を慕いて

 

アルバムの最後を飾るのは、古賀政男さんの名曲中の名曲です。この曲も私は流しのおっさんから教わりました。

 

当時13歳だった私にはこの曲の良さがさっぱりわかりませんでした。このアルバムで久々にこの曲と再会して感じたのは、この曲は日本人のブルースなんだな、ということ。だからこそ、アメリカ人にトミ藤山さんの歌が通じたのだろうと思いました。

 

曲と歌詞が完璧に組み合わさった名曲です。

 

このアルバムはライブ会場などで購入できます。この内容で1500円は安いですよ。特にギターの弾き語りをしている方には一つの教科書として聴いていただきたいです。